みんなで創る度会県!度会県民参加型プロジェクト
鳥羽市度会県おんらいん♨さろん
地域と人を変える場づくり(後編)
新型コロナウイルスの影響で3月に予定していた「アートの裏路地ツアー」が延期となった、鳥羽市の「なかまち」。
それがオンラインサロンという新たな形で度会県民の皆さんとつながることができました。
地域でがんばるゲストたちの熱意に応えるように次々に意見が飛び出したワークショップの模様をダイジェストで紹介します。
コロナ禍でも度会県とつながれる新しい関係づくりのためスタートした「度会県 × OTONAMIE おんらいん♨︎さろん」。
県内でウェブマガジンを運営している「OTONAMIE(オトナミエ)」とともに度会県エリアで活躍するキーパーソンを毎回ゲストに迎えて開催しています。
第3回はワークショップの後半です。
第2回の前半では、奈良県東吉野村で活躍する坂本大祐さんをゲストに迎え、人が集まる”場”があると地域がどう変わっていくのかについてお話ししていただきました。
そして後半の今回では、人が集まる場が生まれつつある鳥羽市の「なかまち」を舞台に、実際に使えそうな空き家をどう活用したら地域が盛り上がるか、参加者の皆さんにいろいろ”妄想”してもらいました。
目次
1.なかまちの紹介
2.ワークショップ「イケてる空き家で移住妄想」
3.ワークショップを終えて…
1.なかまちの紹介
(村山さん)
今日のファシリテーターを務める、オトナミエ代表の村山です。
まず「なかまち」の説明をします。
今年3月に度会県民参加型プロジェクト「アートの裏路地ツアー」(告知記事)が開催される予定だったんですが、新型コロナウイルスの影響で延期になっていました。
この告知記事を見てもらうと、なかまちがどんな場所なのか分かると思います。
簡単に言うと、かつて「鳥羽の台所」と呼ばれた場所で、だんだん店が無くなっていたんですが、最近は若い人が入って空き家を活用していろんなことをしています。
(参考:なかまち公式サイト https://tobanakamachi.com/ )
告知記事でも紹介している合同会社NAKAMACHI代表の濱口和美さんにお聞きします。
なかまちにKUBOKURI(クボクリ)というカフェ兼コワーキングスペースができたのはいつでしたっけ?
(濱口さん)
2016年に5人の有志で出資して合同会社を立ち上げました。
ちょうど同じ頃に久保クリーニング店というお店が閉まることになり、空き家になるので活用してくれていいですよというオファーがあったんですね。
それで合同会社が契約して借りることになり、仲間でリノベーションして、元の店名からの連想で「久保クリーニング」→「KUBOKURI」という名前になりました。
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左から 濱口さん、村山さん(オトナミエ)
(村山さん)
KUBOKURIができたことで、なかまち以外の地域からも若いクリエーターの方が集まるようになったそうですね。
(濱口さん)
まず1人がコワーキングスペースを借りてくれたのが始まりだったんですが、そこから仲間が仲間を呼んで2人3人と来てくれて、結果としてクリエーターが集まってきたという感じです。
そんな風になかまちに集まって来たクリエーターの一人、佐藤創(はじめ)さん。
今日のもう一人のゲストです。
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自分でリノベーションしたカフェから参加する佐藤さん
(村山さん)
佐藤さんは東京生まれの映像クリエーターですが、地域おこし協力隊(※)の制度を使って鳥羽に来たそうです。
なんで地方に来ようと思ったんですか?
※都市地域から過疎地域等に移住して、地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html
(佐藤さん)
地方での映像の仕事に興味があったんです。
例えばゆるキャラでも、着ぐるみ止まりでそれ以上は進化していないのが気になっていて…。
なんで誰もやっていないんだろうって。
鳥羽なら観光資源があるので、観光PR動画の仕事とかあるんじゃないかと思って、そこで自分の力を試そうとしたんです。
ダメだったら東京に帰るつもりだったんですけど、今では家も買っちゃったじゃないですか。
退路を断つぐらいのつもりで、なかまちに残っちゃいました(笑)
佐藤さんは、もともと理容店だった空き家を買い取って、カフェにリノベーションしました。
そして今ではカフェの運営を代行したいという人も現れたそうです。
(参考:佐藤さんのカフェ兼アトリエ「イエンスの塔」https://tobanakamachi.com/2020/11/953 )
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左から カフェの外観、リノベーションした内装
(佐藤さん)
空き家の改修もしてカフェもしてっていう仕事量が自分のキャパシティを超えて疲れていたとき、以前からの知り合いがカフェをやりたいって言ってきてくれたんです。
それでお願いすることになって、今はいろいろ準備中なんですが、早ければ来年3月から新規オープンする予定です。
(村山さん)
あと面白かったのが、他にもたこ焼き屋をやらせてっていう人が現れたというお話。
(佐藤さん)
僕がリノベーションをしているのを近所の人も見ていて、その中で昔お店をやっていたおばちゃんがそれに触発されて「私ももう一回店をやるわ」って言ってきて。
しばらくは僕がイタリアンを作り、おばちゃんがたこ焼きのテイクアウトをするという謎な組み合わせでやっていました(笑)
そうしたら自信がついたのか「私ここを出て自分で店をやるわ」ってなって、今日からオープンしています。
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カフェから独立した たこ焼き屋さん
(村山さん)
皆さんフットワーク軽いですね!
なかまちのエネルギーを感じます。
2.ワークショップ「イケてる空き家で移住妄想」
ゲストの興味深いお話の次は、いよいよワークショップです。
事前に村山さんが写真を撮ってきた3つの空き家を舞台に「この空き家はこう活用したら面白いのでは」と自由にアイデアを出してもらいました。
(村山さん)
今回ご紹介するのは「蔵」「獅子宿(ししやど)」「魚寅(うおとら)の2階」になります。
まず蔵ですが、芝浦工業大学の学生が授業の一環で関わっていて、彼らにリノベーションについて考えてもらっています。
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左から 蔵の外観、リノベーション中の内装
(村山さん)
次に獅子宿です。獅子舞の倉庫になっているのでそう呼ばれているようです。
間取り図を描いてみました。
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獅子宿の外観(左)
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獅子宿の間取り図
(村山さん)
中はこんな感じで、レンガ張りの壁や棚などがあります。
(村山さん)
そして魚寅の2階です。1階が「魚寅」っていう魚の加工品屋さんで、2階がかなり広いんです。これも間取りを描いてみました。
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建物の外観
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左から 魚寅の中から見た景色、魚寅の商品の看板
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魚寅2階の間取り図
(村山さん)
3つ繋がっている部屋があって、ふすまを取り払うとかなり広く使えますね。
空き家の紹介中にチャット機能でアイデアをいただいた参加者から、順番に具体的な説明をしてもらいました。
☆
・ゲストハウスはどうでしょうか?
全国各地でレンタサイクルのサービスが増えていて、モデルコースも作って、自転車で回れるようになっているんですね。鳥羽だと漁村がいろいろあるので自転車であちこち回れそうですが、そうなると日帰りではキツいので泊まるところがあれば面白いかなと。
(村山さん)
漁村と言えば、オンラインサロン第1回のゲストの浅尾さんにもご参加いただいています。
なかまちから浅尾さんのいる浦村(うらむら)まで自転車で行くのは遠いでしょうか?
(浅尾さん)
僕のいる浦村は少し遠いですが、それ以外の漁村でしたらレンタサイクルのお客さんはけっこういますよ。
ゲストハウスがあると旅人とかいろんな感覚を持った面白い方が来ますし、そうなると住民にも、人に見られているという良い意味での緊張感が出てきますね。
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自宅から参加の浅尾さん
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・獅子宿で、テイクアウトができる店はどうですか?
コワーキングスペースがあるので、そこで働いている人がしっかり食べられるようなご飯もののメニューがあるといいかなって。
(佐藤さん)
この辺の人はテイクアウト大好きですね。
うちの店も、店内で座って食べた地元のお客さんってこれまで一人か二人しかいなくて、みんな持って帰って食べています。
(濱口さん)
たぶん、高齢者が多いから、食べきれなくて残った分を冷蔵庫に入れてあとで食べたいっていう需要があるんだと思います。
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・”妄想”の参考に聞きたいのですが、コワーキングスペースにはどんな職種の方が入っているんですか?
(佐藤さん)
ライターや文筆業の方が数名と、あとは牡蠣の加工業者さんが事務仕事用に使ったり、NPOをやっている人が住所の登録用に借りたり、って感じで全て埋まっていますね。
☆
・魚寅の2階で、月額で借りられるシェアハウス。
行政がやっているお試し住宅というのもありますが、それよりも気軽に地域に関われて、自分の都合のいいタイミングで行けるので、門戸が広がるのではと思いました。
(村山さん)
佐藤さんのように一軒家を買うのもアリですが、まずお試しで住んでみるのはいいですね。
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・食を扱う起業者向けのチャレンジショップはどうでしょうか?
コワーキングスペースで働く人向けの社食という形で入ってもらったり。
(村山さん)
先ほどのアイデアと合体させて、獅子宿をチャレンジショップに、魚寅さんの2階をシェアハウスにしたら、本当に移住者が増えるかもしれないですね。
☆
・果樹園だと季節労働者を受け入れるっていう話を聞きますが、漁業にも季節労働を必要とするタイミングってあるんですか?牡蠣の最盛期など人手不足がありそうですが。
(浅尾さん)
まさに今がそうですね。明日から十数名来てもらったとしても全然足りないくらい。
だからなかまちに滞在して働きに来てくれるなら出資もしますよ、本当に。
(佐藤さん)
ネット環境、テレビ、その他もろもろの設備が整っているネットカフェのような宿泊所があると、季節労働で来る人は大喜びすると思います。
・ ↑ 浅尾さんへの提案ですが、滞在中に現地のお手伝いをすることで、宿代は出さずに旅人が長期滞在できる地域を紹介するサービスをいくつか知っています。浅尾さんが求めているものと合うかもしれません。
☆
・近くの港から釣り船は出ていますか?もしそうなら、明け方までのショートタイム宿。
私も釣りをするんですが、隣の県で朝から釣りをしようとすると夜2時とかに家を出るんですね。そういうときにショートタイムで休めるような施設があると色んな人を呼び込めるんじゃないかと。
あと釣り人って全員が魚を捌けるわけじゃないので、釣った魚を捌きますというサービスも付けてお金を取ったり、いろいろ工夫できると思いました。
(佐藤さん)
いろんなタイプの宿泊施設があるといいですね。
ホテルや旅館はあるんですけど、ゲストハウスとかシェアハウスとか、あと、さっき言ったネットカフェもあればいろんなタイプの旅行者が来るのかな。
(村山さん)
とにかく好奇心がある人が集まって泊まれる場所があれば、そのまま「ここに住もうかな」みたいな人が出てきて、立ち飲みスタンドみたいな小さなお店を始めて、そうしたら鳥羽に来た観光客もこっちに飲みに来たりして…
妄想が広がりますね。
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(村山さん)
皆さんご意見いただきましてありがとうございました。
第2回のワークショップ前半から継続して「人が集まる場があると地域はどう変わっていくのか」っていうのがテーマだったんですが、前半のゲストの坂本さんも言っていたように、狙ってやっていたわけではないんですね。
楽しいことをしていたら人が集まってきていつの間にかそういう場ができていただけだという。
根源にあるのは楽しさなので、あんまり狙わずに、とりあえず「楽しいところがあるらしいよ」「行ったら色々できるらしいよ」みたいなノリで始めた方がいいんじゃないかな~と思います。
3.ワークショップを終えて…
度会県民と意見交換して、なかまちのメンバーもさらにやる気が出てきたそうです。
ワークショップ終了後に濱口さんからこんなメッセージをいただきました。
「なかまちには元気なお年寄りが沢山いらっしゃいます。なかまちを訪れる人たちとの交流を実現したいです。特にゲストハウスや民泊は私の念願で、ぜひ実現させたいです。」
また、今回もご参加いただいた1回目のゲスト・浅尾さんも、ワークショップ参加者に教えてもらった情報をもとに、仕事を手伝ってくれる旅人の受け入れに向けて動き出しているとのことです。
このオンラインサロンは、もともと度会県民の皆さんに交流を楽しんでもらうために始めたものですが、ゲストの方々にとっても新たなチャレンジに踏み出すきっかけになっているようです。
度会県民とゲストが力を合わせれば、離れていても地域を盛り上げることができます。
一緒に地域づくりについて考えたい方、ぜひ次回のオンラインサロンもよろしくお願いします!
(募集は コチラ から)