みんなで創る度会県!度会県民参加型プロジェクト

度会町お米づくりから考える地域の伝統継承プロジェクト

【後編】お米づくりから考える地域の伝統継承プロジェクト

多世代のゆるやかなつながり

おもちをついたことはありますか?

女子高生:ガチなやつ?ないです。もちつき機のやつはあるけど。

幼児、学生、大人、高齢者。そしてヤギも。

ここにいる人たちは、みんな繋がっている訳ではなく、度会町に移住して米農家を営む陰地夫妻(伸哉さん・盛希さん)が開催したイベントに集まった人たち。

▲陰地伸哉さん

▲陰地盛希さん

イベントの内容はみんなでおもちをついたり、地元の食材で地元の人が作る料理を食べたり、陰地夫妻がおすすめする景色を眺めるというもの。県外や町外からの参加者も多かった。

伸哉さん:僕たち夫婦らしいゆるゆるなイベントですが、たくさん人が集まってくれて嬉しいです。

子どもや高校生が杵を振れば「よいしょ!よいしょ!」と歓声が沸く。ゆるゆるなイベントと陰地さんはいうが、みんな楽しそうだ。多世代が集まり、ほのぼのとした時間を共有。

伸哉さん:昔はどこの家にでも杵と臼はありました。昔ながらの農家の暮らしをみんなで体験したら楽しいのかなって。

みんなで丸めたもちは、それぞれにお好みの味でいただく。

度会町の農家さんが育てた野菜たっぷりの豚汁もおいしい。

地元の農家さんが慣れた手つきでもちに餡を丸めていくのを眺めていると、無言でひとつくれた。中にはあんこ、表面にはきな粉。あたたかく、やわらかく、おいしかった。

地元の農家さん:昔は、朝早くから突きよった。ペタンペタンという音で目が覚めました。

昔は地域にあった、今日みたいな多世代のゆるやかなつながり。人口が減っていく現代、地域に求められているのは、こういうつながりなのではないかと思う。イベントやその地に行くきっかけづくりのコンテンツは、特別なものじゃなくても今そこにあるもので十分で、農家などの田舎の暮らし自体が農業や田舎に関わりのない人には非日常であり、魅力的に感じることがある。

  • 子どもも大人も、みんなで作ったお餅は大きさも形もバラバラ。その不揃いさに、機械にはない人の温かさを感じた。

地域は余白がたのしい

度会県プロジェクトのイベントによく参加するという北勢地方に住む人に話を聞いた。

参加者:私自身、仕事の都合で関東から引っ越し、縁のない三重県に暮らしています。去年から南伊勢町の伊澤さんや度会町の陰地さんの度会県イベントに参加していて、最初は「こういう暮らしをしている人がいるんだー」って感動して。今年はすでに繋がっている人のイベントなので参加しやすく、友人のところに遊びにいく感覚です。ネットからガチへ、みたいな。

インターネットでイベントを知り、実際に参加して繋がる。そうやって繋がり、生活圏を広げていく関係人口のたのしみ方。関係人口は難しいことではなく、その地の暮らしをたのしむこと。
そう考えたなら、地域にはまだまだたのしめる余白がある。

そして余白には、たのしいがある。

ひとりでおもちを食べている参加者がいた。

話を聞くと「まだどこかは具体的に決めていないけど移住をしたい」という満仲さん。三重県南部の御浜町で育ち、その後大阪で暮らして30年が過ぎた。先週、大阪で開かれた移住系のイベントでスピーカーとして登壇した陰地さんの話を聞いて今回参加したという。

満仲さん:若いときから50歳を超えたら三重に戻ろうと思っていました。最近仕事が一区切りして、若いときの自分に「移住したら」といわれている気がして。

そう話す満仲さんは、都会に暮らしたからこそ感じる地方の魅力があるという。

満仲さん:朝の満員電車とか、家の窓を開けても見えるのはマンションばかりで緑がない都会の暮らし。田舎に行くと、気持ちが子どものときに戻っていく感覚があります。若いときに感じていたことを、今もまた感じています。

このあとみんなで山頂まで車で移動して、山の上から町や海まで眺めた。

美しい景観に、スマホを取り出し撮影する参加者たち。

先程お話しを聞いた満仲さんも、たくさん写真を撮り、景色を眺めていた。

盛希さん:満仲さんのように、移住イベントや今回のようなイベントへ繋がりのなかった人が初参加するのって、エイヤッて勇気を振り絞ってきてくれたんだと。そう思うとありがたいなと思います。

人は故郷を選ぶことはできない。でも、暮らしたい場所を選ぶことはできる。そのためにも、今回のような地域性のある暮らしを体験することは、移住希望者にとって有意義だと思った。

機械でついたおもちと、杵と臼でついたおもち。味に違いはないけど、後者はその過程で、人のゆるやかなつながりを作る。ゆるめのイベントには人が関われる余白があるからこそ「たのしい」が生まれていた。そんな自然なかたちの関係人口づくりは気軽にたのしむ心があれば、ガチな気合いは必要なさそうでした。

おまけの話

会場が杵と臼のガチなもちつきで盛り上がっていたころ、となりの工房では。

私:あれ!陰地さん。その機械はもしや・・。
伸哉さん:あ、いや・・、これは時短、ということで(笑)。

ガチじゃない方のもちつき機で、こっそりとよもぎもちを作っていた陰地さん。こういうゆるさも大切なのかも知れません。

 

後日、陰地さんから夜の部の様子が届きました。三重産の具材を使ったおでんや、おんじ屋の米粉でつくったどら焼きなどを食べながら、新たな企画などの話に花が咲いたとのこと。食べて話して笑ってつながる。この度会県プロジェクトには、そんな関係人口の作り方がありました。

 


 

2018年度のこだわりのお米づくりスタートアッププロジェクトの記事(前編後編)。
2019年度のお米づくりから考える地域の伝統継承プロジェクトの前編記事。

 

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