度会県民参加型プロジェクト

<南伊勢町>伝えたくなる南伊勢・魅力発掘プロジェクト/11月17,18日開催

漁師ライターがナビゲート「伝えたくなる南伊勢・魅力発掘プロジェクト」(前編)

地球誕生から46億年の歴史を刻む雄大な峡谷、アメリカのグランドキャニオン。

エアーズロックを中心としたアボリジニの聖域、オーストラリアのウルル。

約300万頭の野生動物が生命を営む広大なサバンナ、タンザニアのセレンゲティ。

 

これら世界の名だたる国立公園の魅力は、圧倒的なスケール感。

 

一方、日本における国立公園は、四季の移ろいに見る機微であり繊細な美しさが魅力。

それをじっくりと味わったことのある人はまだ少ない。

 

伊勢志摩国立公園は、96%以上が民有地で居住人口が他と比べてダントツに多い。自然と共生する人々の暮らしが息づく、世界にも例がない特殊な国立公園だ。その魅力を体感するならぜひ足を伸ばしてほしい場所が、山海のコントラストが美しい漁農両輪のまち・南伊勢町だ。

 

 

 

――ディープな南伊勢の魅力を伝えたい。

目立ったランドマークや鉄道もない南伊勢のディープなツアーを企画したのは、地域おこし協力隊を務める伊澤峻希さん。漁師でありながらライターとして町の魅力を発信するのが日々の役目だ。神奈川県に生まれ都会で学生生活を送っていた彼にとって、漁村の暮らしは何もかもが新鮮だ。

伊澤さん:取材を通じてこの町のことを知るたびに好きになり、この感動をもっと多くの人と共有したいと思ったら、書くだけじゃなく実際にここへ来てもらうのが一番だと思ったんです。ガイドブックやWEBだけではわからない、漁師であり記者として暮らす僕だからこそ伝えられる南伊勢の魅力を、このプロジェクトで体感してもらえたらと思っています。

 

 

 

――生きるって食べること。志はジャーナリストから一次産業へ。

4月から漁師となり南伊勢に移住してきた伊澤さんだが、実は早稲田大学法学部卒。幼い頃から文章を書くのが好きで、将来は小説家かジャーナリストになるつもりでいた。だが大学2年の時に海外一人旅を経験したことで人生観が変わった。

 

伊澤さん:初めての一人旅に選んだ場所がよりによってインドで、空港に着くなり騙されて所持金の大半を失ってしまったんです。でもそのあと出会ったタクシー運転手さんが、僕が息子と同じ年だと知るとタダで乗せてくれたり、貴重なお祭りを見せてくれたりして、死ぬかもって思う場面は何度もあったけど結果的に無事帰ってこれたんです。

「なんとでも生きていけるんだ」と達観してしまい、「生きるって何だろう」と改めて考えるようになったという。

 

伊澤さんがたどり着いた答え。それは「食べること」。

目の前にある食べ物がどこでどのように生産されどのようなルートをたどっているのか、普段全く意識しないまま口にしていることにある種の恐ろしさを感じた。生きることとイコールである食べることの本質を知りたくなり、伊澤さんは在学中に国内の一次産業をめぐる旅を始めた。将来の夢はここで完全にリセット。次第に生産現場で働きたいと思うようになった。

 

 

 

――漁師の世界に入ったからわかる南伊勢の人の魅力。

訪ねることができた生産者の多くは農家。漁業との縁を求めていたところ、伊勢神宮を訪れた帰りに足を伸ばした尾鷲のゲストハウスで、南伊勢町阿曽浦の友栄水産を紹介してもらった。伊澤さんの現在の職場だ。

代表の橋本純さんは海外生活の経験があり知見が豊富。活魚問屋とマダイの養殖という本業の傍ら、エコツーリズムという言葉がまだ耳慣れない20年近く前から漁業体験の受け入れをはじめ、漁村の魅力をゆっくり味わってもらえるよう今年の春ゲストハウスをオープンさせた。かなり異色な漁師である橋本さんに惹かれ、伊澤さんはインターンを申し込んだ。

橋本さん:初めて来た時は、正直続かんと思ったよ。魚や海が好きなわけでもなく、ただ食べ物のルーツが知りたいというだけやったから。でも意外に一生懸命で、ここに就職したいと言ってくれた。それなら彼の経歴が活かせる環境を整えてあげようと、協力隊としてライターもしたらどうやって勧めたんさ。イザワの能力は、漁村の未来に必要だとも思ったから。

こうしてシティボーイ伊澤さんの「半漁半X」の日々がスタートした。

 

手を使い、からだで覚える。

 

半年で節は太くなり皮膚の厚い指先に。もう都会の匂いはほとんどしない。

 

昼休憩。週の半分は職場の人と地元の食堂で食べる。

毎日コワモテ色黒の漁師に囲まれて働く伊澤さん。

漁師たちは、くだらない冗談を言いながら笑顔で仕事する。

男の職場。早朝から明るい下ネタも飛び交う。

このユーモア精神は、過酷さを吹き飛ばす農村の仕事歌と同じだ。一つの民族文化。

でも伊澤さんの性格上、最初はおおいに戸惑った。

 

伊澤さん:正直めっちゃイヤでした。僕はパーソナルスぺ―スを広く持ちたい方なのに、閉めかけたシャッターに手足を突っ込まれていつまでも帰ってくれない感じ(笑)。でも、いったん土足で上がられちゃったらもう土足OKでいいやと思えるようになって慣れました。どんどん僕の部屋は狭くなっていきますけど…。

筆者:じゃあ、ある日突然みなさんが玄関で靴を脱ぐようになったら?

伊澤さん:それは…終わりですよね。そうなったら終わり。だから今はありがたいんです。そうやって僕の居場所を作ってくれてる。

そんな伊澤さんの言葉をでっかい笑顔で笑い飛ばす先輩漁師たちからは、でっかい愛があふれている。

 

店を出た後、橋本さんがぽそりと言った。

橋本さん:狭くなってるんじゃなくて、おまえも土足でこっち入ってくれば広々自由に過ごせんのに。…ということには、まだ気づかないんやなぁ(笑)。

 

自室に戻った伊澤さんがまっすぐ言った。

伊澤さん:なんでここにいるかって。それはもう、人です。人しかないです。半年経って「もうおまえはここの人間や」って言ってくれた人がいて。うれしかった。

 

面と向かっては言えないこともある。伊澤さんはそんな想いもこのプロジェクトに込めている。

 

 

 

――ツアーのテーマは「水」がつなぐ人の営み

リアスの海岸線に山が切り立つ南伊勢は、水の循環とともに人々の営みがある。

2日間かけて巡る地区は4ヶ所。伊澤さんが撮影した風景写真も交えて紹介しよう。

 

①押渕(おしぶち)

山が抱く清水は、押渕川によって里の田畑に行きわたり米を育む。その源流にある押渕白滝は、躍動するいのちの象徴。

 

 

②内瀬(ないぜ)

押渕川は内瀬の五ケ所湾に注ぐ。ここではみかんの栽培とともにあおさの養殖が人々の暮らしを支える。

この湾を含む南伊勢一帯の海域は熊野灘と呼ばれ漁業に適したリアス式海岸が続く。

 

 

③阿曽浦(あそうら)

かつてこの地区は伊勢神宮領であり、その名前から海の幸を献上していたことを彷彿させる贄湾(にえわん)では、

真鯛の養殖業が発展。南伊勢を代表する名産となりシンボルとなっている。

 

 

④河内(こうち)

かつて子どもたちを未来に送り出していた保育園の跡地は、まちの未来を描く場所に生まれ変わっている。

気流が雨を降らし水がまた山へ還るように、人の営みもそこで生きる人がいる限り巡り続ける。

 

南伊勢の自然の中で息づく暮らしから、生きること、食べることの意味を感じとってもらえたらと伊澤さんは思っている。

 

 

 

伊澤さん:感動を誰かに伝えることは、幸せを共有することであり、その人に未知なるものと出会うきっかけを与えることにも繋がる。僕が発掘した南伊勢の魅力を知れば、きっと誰かに伝えたくなるはずです。

 

日常の延長線上にある尊くささやかな感動体験を届けること。

これが漁師ライター伊澤さん流の、関係人口の増やし方である。

 


 

伝えたくなる南伊勢・魅力発掘プロジェクト

 

―日時

平成30年
11月17日(土) 11:00~20:00
11月18日(日) 9:00~11:00

 

― 集合場所

旧穂原小学校(三重県度会郡南伊勢町伊勢路1005)

 

―スケジュール1日目

11:00 集合

11:10 ①押渕 庄下糀屋見学→白滝前で押渕産米のおにぎりとみそ汁の昼食

13:00 ②内瀬 あおさ養殖場の見学

14:00 ③阿曽浦 友栄水産で漁業体験

16:30      鯛の塩釜焼き体験~夕食

19:30      星空観察

20:00      解散

※宿泊希望者は近隣施設を紹介しますので各自でご予約ください。

 

―スケジュール2日目

9:00 ④河内 わかくさ園で「感じたことを伝えあうワークショップ」

11:00 終了

※終了後、わかくさ園の食堂でランチ交流会をします(希望者のみ実費で)。

 

―持ち物

カメラ、スマホ、筆記用具

 

―参加費

一人3,000円(2日間のすべてのプログラム参加費、1日目の昼食・夕食費を含みます)

 

―定員

5名

 

―交通

自家用車でお越しください(各ポイント間も自家用車で移動します)。

 

 

―参加申込方法

①氏名(複数いる場合は代表者)
②人数
③住所
④電話番号
⑤Email

以上を明記して、メールまたは電話でお申込みください。

申込締切は、11月4日(日)。定員になり次第受付を終了します。

Email : izawashunki@gmail.com

Tel: 080-1210-9248

担当:地域おこし協力隊 伊澤峻希